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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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〒503-0897 岐阜県大垣市伝馬町11番地

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 テレホン法話 2015年  

  放送日 タイトル 法 話
535 2015年10月16日〜 「当たり前」のものさし 第14組善正寺 吹原美由紀
 私には、心の病や知的障害と戦っている友だちが沢山います。その人たちから、よく耳にする言葉があります。それは「立派な人になりたい訳じゃないの。普通の人になりたいだけ。」というものです。
 当たり前に身の回りの整理整頓(せいりせいとん)ができ、当たり前に仕事に出掛ける事ができる。当たり前に当たり前の事ができる人間になりたい。何度聞いてもこの言葉は、切なく涙がにじみます。私はその言葉には(つら)く苦しい思いから救われたいという願いがあるように感じられます。
 なぜ、それほど辛く苦しい思いをしなければならないのかを尋ねると、子どもの頃から当たり前の事ができない人間は「ダメ人間」と教えられたことにありました。自己否定を重ねながら生きてゆかなければならないことは本当に悲しい事です。勿論(もちろん)「しつけ」は大切です。けれど、しつける側・導く側の大人に脳の成長には個人差があり、個性があるという知識と理解があれば、自己否定を続ける人の数も減るということはないでしょうか。
 「当たり前」のものさしはどんな大きさなのでしょう。
 子どもの頃から病院で治療を受けている友だちが最近検査を受けました。彼女は二十代半ばで、幼い子どもを持つお母さんです。検査で幾つかの知的障害があると分かりました。並べられた病名の多さに彼女はショックを受けましたが、主治医の先生が「今まで頑張ってきたね。生きづらかったでしょう。」と、言ってくださった言葉に救われたと話してくれました。
 もしかして私たちは、知らぬ間に誰かにとって生きづらい社会を作っているかもしれない。小さなものさしで作られた「当たり前」を(こわ)さなければならない時機にきているのかもしれない。そう深く考えさせられました。彼女はすばらしい子育てをしているお母さんです。心を安定させる薬を一生飲み続けなければなりませんが、資格を取るためにと瞳をキラキラさせて頑張っています。
 金子みすゞさんの詩の一節に「みんなちがって みんないい」というのがあります。誰にとっても生きやすい世の中が作られれば、心の問題に対する知識がもっと広がれば、そんなことを思いながら戦う友人たちと共に泣き笑いを繰り返し、今日も未来を描いております。


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