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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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〒503-0897 岐阜県大垣市伝馬町11番地

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 テレホン法話 2016年  

  放送日 タイトル 法 話
549 2016年5月16日〜 祖母からの灯 第6組 慶圓寺 譲 西誓
 私には88歳の祖母がいます。昔の祖母はとても(きび)しい人でした。幼い頃の記憶に残っている姿はいつも怒ってばかりです。そんな祖母も十数年前から認知症を患い、今では誰が誰かも、ご飯を食べたかどうかもわからず、トイレや入浴も一人ではできない状態です。そして二年前からは介護施設に入っています。このような祖母の姿を見た、私や(まわ)りの人は「昔はあんなしっかりしとったのに、かわいそうなもんやね。」と言うのです。
 そんな祖母が、最近よく言うようになった言葉が二つあります。それは「ありがとう」と「私は何にもできんからよろしく頼むよ」という言葉です。この言葉を祖母は、目が覚めたときに隣に私がいた時や手を(つな)いでどこかに連れて行った時など、私からすれば、なんて事ない時に言うのです。そして、施設の方から聞いた話によると、祖母は毎朝正信偈(しょうしんげ)のお勤めをして、なまんだぶとお念仏を(とな)えているそうです。
 このような祖母の姿に、私は気づかされたことがあります。それは、「ありがとう」「頼むね」という言葉をなかなか言えない私の姿です。思い返してみると、「当然のことをしてもらっとる」「人に頼るなんてみっともない」という私の思いやプライドが邪魔をして、「ありがとう」「頼むね」という言葉がなかなか出ないのです。このことを(とお)して、お念仏を日常の中で忘れている私に気づかされたのです。
 親鸞聖人(しんらんしょうにん)が大切にされた七人のお坊さんの中に善導大師(ぜんどうだいし)という方がみえます。
善導大師は「就人立信(じゅにんりっしん)」、「(ひと)()いて(しん)()つ」と言われました。これは自分の力で信心を(おこ)すのではなく、諸仏(しょぶつ)やお釈迦(しゃか)さんを通じて本願(ほんがん)への信心が立ち上がってくるということです。つまり、周りにかわいそうと思われていた祖母が、本当にかわいそうなのは、仏さんを忘れ自力(じりき)盲信(もうしん)していた私であったと気づかせてくださった諸仏だったのです。阿弥陀仏(あみだぶつ)の本願の(こころ)という仏法の(ともしび)を、お釈迦さん、諸仏、七高僧(しちこうそう)、宗祖、先達(せんだつ)が伝え、今私に届いているのです。この灯が伝わることを、(まさ)しく伝灯(でんとう)と言うのでしょう。皆さんは身近な灯を忘れてはいないでしょうか。


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