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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

TEL. 0584-78-3362

〒503-0897 岐阜県大垣市伝馬町11番地

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 テレホン法話 2016年  

  放送日 タイトル 法 話
552 2016年7月1日〜 ゆだねる力 母からの贈り物 第7組 念徳寺 南木尚子
 もうすぐ両親の三回忌を迎える。亡くして初めてわかるというが、特に母の晩年から、大切な姿を示されていたことに気付かされた。
 私にとって母は決して頼りになる、尊敬できる存在ではなく、どちらかというとわがままで困った人という存在だった。そんな母だから、決して無理強いしてくることはなかったのに、母から電話が入ると仕方ないなぁという気持ちが優先していた。
 ある日、毎日様子を見に来てくれる母の友人に対して母が、「あれやって」「これやって」とぞんざいに頼むところに行き会い、よその人にまでまたわがままを言っていると、母を(いさ)めようとした。ところが母の友人に、「私が好きでやっとるんやで、いいんやよ」と逆に私が諫められてしまった。母とその人が築いてきた関係は、単に何かを頼む、頼まれるということではなくて、相手を信頼してゆだねる、寄せられた信頼にこたえるという、対等の信頼関係であった。だから、母が自分でできなくなったことを人にゆだねることは、その人との共同作業となっているということに思い当たった。そう思ってみると、母は、自分が介護を受けるようになってから、自分の状態を受け入れ、好きなことをだんだんと手放していっていた。いろいろなことができなくなっていくことを受け入れ、自分でできないことで必要なことは、人を信頼してゆだねることによって周りの人と一緒にできる喜びとなっていたと思う。そして母には最期まで親身になってくれる友人がたくさんいた。
 ゆだねる力  何でも自分で(かかえ)()もうとしない
 以前のようにできなくなった部分は手放していく
 できなくなった自分を(なげ)かないで、人とのつながりを楽しく過ごす
母の最期の生き方は、人として豊かに生き切る大切なありかただったのだ。
 最期を施設で終えた父の葬儀には、友人が車いすを押して参列させてくれて、姉と弟と私の三人が乗る霊柩車(れいきゅうしゃ)に手を振ってくれた母は、弟が父の葬儀をしっかり出してくれたと喜んで、その一週間後に静かに息を引き取った。


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