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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2017年  

  放送日 タイトル 法 話
570 2017年4月1日〜 覚えがない 第8八組 正光寺 木塚 哲
 みなさん「覚えがない」という経験はありますか?たとえば、外へ出かけるときになって車の鍵が見当たらない。携帯・スマホが見つからない。新聞を読みたいのにメガネがない。確かさっきまであったはずなんだが…。大概こういう探し物は、忘れたころに出てきたり、置いた「覚えがない」ところにあったりするものです。この「覚えがない」ことについて昨夏小学生の子どもたちに話しました。
 「みんな何時に起きた?」ラジオ体操があるので、皆早起きです。「6時!5時半!」と答えました。そして、「みんな早起きだね!どうやって起きたの?」と聞くと、「自分で起きた!」「暑くて起きた!」「セミがうるさくて起きた!」「お母さんに起こされた」と様々です。しかし、最後に私は「みんな色んな形で起きたと言ってくれたけれど、全部違うよ。だって、もし夜中にドキドキ動く心臓が止まっていたらどうなる?寝ている間に息が止まっとったらどうなる?」それを聞くと皆シンとして…一人の男の子が「死んどる…」と言いました。そして私は、「そうや!死んどったらどうなる?どんなに周りがうるさくても、お母さんが泣きながらアンタ起きて!って叫んでも、起きれんぞ。皆は生きとったから、朝起きれた。そのこと知っとったか?」と言うと、子どもたちは「知らんかった」「考えたこともなかった」と口々に答えてくれました。「そうや、みんなが自分で起きたと思っとったけど、朝起きられたのは生きとったからや。命があったから起きられた。そのことみんな忘れておる。さらに言うなら、この世に生まれたから生きているんや。お父さんお母さんが出会い、お母さんのおなかの中で十月十日という長い間おって、お母さんが苦しんで産んで、生まれた後もお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、色んな人たちのご苦労とお世話を受けて、ここまで大きくなって生きておったから、朝起きることができたんや。皆そのこと知っとるか?」と重ねて尋ねると、「知らんかった」「そんなこと考えたこともなかった」と口々に言いました。「そうや、そんな風に私らは覚えがないことがたくさんあるんや。そういった数えきれんぐらいの、たくさんのつながりを『縁』とお釈迦さまは悟られた。人は一人では生きられない。できると思っとるのは、ただの妄想や。そして、皆が知らず知らず支えられとるように、私たち一人ひとりも、知らず知らず誰かを支えとる。つまり、誰もが支え支えられ、誰一人欠けることなく大切な人だ、という眼(まなこ)をいただけるのが仏さんのお心や。」と私は、子供たちに話しました。
 皆さんも「覚えがない」けど、とっても大切な「忘れ物」を今一度見つめてはいかがでしょうか?


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