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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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〒503-0897 岐阜県大垣市伝馬町11番地

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 テレホン法話 2017年  

  放送日 タイトル 法 話
577 2017年7月16日〜 正しく自分を見つめる 第6組 總福寺 和田祐己
 私は、寺の住職を務めながら、病院で相談員として働いております。仕事の内容は、病気や障がいを(かか)えた患者様やそのご家族からの相談を受けたり、退院後のリハビリのお手伝いをしたりすることです。リハビリは、病気や障がいのためにできなくなったことの回復や社会復帰を目指して取り組むものですが、もっと簡単に表現するならば「生き生きとした、その人らしい生き方を取り戻すこと」と言えます。
 ある方は、主治医の先生に勧められてリハビリを始めることになりました。自宅では昼夜逆転の生活で、どこにも出かけず、食事やお薬も不規則になりがちです。家族はこの方の生活に振り回されて困り果てていました。そんな家族からの強い後押しもあって通い始められたのです。ところが、通い始めて一週間が経った頃、その方から「リハビリはもう結構です。」との申し出を受けました。「一体自分のどこが悪いのか?どこにも出かけなくても何でも手に入るし、昼夜逆転していても誰にも迷惑はかけていない。逆に我慢してリハビリを続けている方が、ストレスが()まって病気が悪化しそうだ!」というのです。
 周りがどんなに問題だと思っても、当人がそう感じていなければリハビリを行(おこ)なう目的がなく、無意味となってしまいます。無理やり続けてもらうわけにもいかず、一旦リハビリを中断することになりました。
 それから半年ほど経った頃、同じ方が「リハビリを受けたい」と訪ねて来られたのです。お話を伺うと、リハビリを中断して自分の思うままに生活していたところほどなく病気が悪化して再入院をしてしまったそうです。三カ月ほどで退院できるようになりましたが、主治医の先生から、病気が再発してしまった原因が自分自身の生活にあったことを教えられ、そこでようやくリハビリが必要であったことに気付いたと言うのです。リハビリの目的を正しく理解された上で取り組まれたこの方は、その後長期間のリハビリにも根気よく取り組み、そのうちに次なるステップとして「働く」という目標ができました。「生き生きとした、その人らしい生き方」を取り戻すべく、今では職業訓練の施設に通ってみえます。
 このように、リハビリがうまくいくかどうかは、それを受ける方自身がその目的を持てるかどうかにかかっています。それは、自分自身を正しく理解しているかどうかによって変わってきます。これは病気や障害を抱えた人だけに言えることではなく、誰しもが「生き生きとした、その人らしい生き方」に近付こうとするときに大切なものの見方です。しかしながら、自分自身を正しく理解するということは、実は非常に難しいことです。誰しも自分の欠点や抱えている問題点を見たくはありませんし、本当の自分はもっとできるはずと考えることがあります。あるいは、不安や自信のなさから必要以上に自分を低く評価してしまうこともあるでしょう。私たちの見方は、一喜一憂する度に、あるいは周囲の環境が変わる度に、大きく揺れ動いてしまうものです。そんな私たちをいつでも変わらぬ眼差しで見つめて下さるのが仏様です。まずは自分自身をありのままに見つめることが「生き生きとした、自分らしい生き方」の第一歩ではないでしょうか。


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