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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2018年  

  放送日 タイトル 法 話
606 2018年10月1日〜 死刑制度について 第1組 善念寺 龍 裕真
 今年の夏、数年前に世間を混乱の渦)に陥れた「地下鉄サリン事件」の主犯とされている、松本智津夫死刑囚ら7人の死刑が執行されました。以前から大谷派としても、死刑制度の廃止を求める声明を発表していますが、今回はこのような機会を縁として自分の意見を述べたいと思い、このテーマに設定しました。
 私は大谷派の声明と同様に、死刑制度については反対です。その理由は、大きく分けて二つあります。一つ目は、死刑制度自体に犯罪の抑止力があると思わないからです。例えば、一つのデータとして日本の殺人犯罪件数は世界的にみて、かなり少ないという事実があります。しかし、西ヨーロッパに位置するモナコという国は、死刑制度を廃止しているにもかかわらず、日本よりもさらに殺人犯罪件数が少ないのです。この様な事柄からも、死刑制度に抑止力がないのは裏付けられます。
 また、よくよく考えてみると、死刑は殺人と何ら変わりません。「あんな非人道的な罪を犯した奴は即刻死刑だ。」と発言している人もいますが、果たして自分の家族、仲の良い知人が同罪を犯しても、同じような発言ができるでしょうか。人と関わり合ってしか生きていけない我々だからこそ、いつ何時も加害者側になり得るという事を深く自覚して欲しいのです。
 反対する理由の二つ目は、死刑制度では本質的な解決にならないと考えるからです。今回のオウム真理教の件も同様です。我々は、今後このような大惨事が二度と起こらない様に事件の真相、動機などの様々な事を、罪深い人間の心に問い(ただ)す事によって、本質的に解決していく責任がありました。しかし、今回の一連の死刑執行は、罪人をただ排除しただけに留まり、真相は永遠に闇の中です。今まで以上に、遺族の悲しみや犯人に対する憎しみに眼をそらさず、反対・賛成双方の主張や立場の違いを認め、歩んでいかなければなりません。
 死刑制度の是非について、自分の問題として考える人がこれから増えていく事を心から願っています。


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