放送日 | タイトル | 法 話 | |
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641 | 2020年3月16日〜 | 大人だって甘えたい | 第8組 池野東教会 廣澤全晶 |
昨年末に漫才のトーナメントをTVで見ていました。そこに「ぺこぱ」というコンビが出場していて、彼らのネタに度肝を抜かれました。私は、漫才とはボケ担当のセリフや行動をツッコミ担当が叩いて、間違いを指摘する掛け合いのことだと理解していたのですが、彼らは違いました。ツッコミがツッコまないないのです。トンチンカンなボケを拾い、それを正面から肯定することで笑いが生まれていました。 ネタが終わり観客が沸く中、私はとても温かい気持ちになりました。彼らの漫才に救われた気さえしました。なぜなら、わたしの思いを聞き入れてもらえるってとても嬉しいことではありませんか。 社会では、自分とは感覚や歩幅の違う人と歩み寄りながら、生活しています。わたしの思いを言葉にする時、その言葉が誰かを傷つけたり、不快にさせないかと気を配ります。集団の中で生きていれば、他人との衝突を避けるために自分の本音を胸に秘め、自分を抑えて振る舞う場面もしばしばあるでしょう。 私は、大人になるってこういうことだと分かっていながらも、本音を言えば安心して自分を出せる時間や場所が欲しいです。一緒に暮らす連れ合いには、子どもたちが群がりそれどころじゃないし、私自身、親に甘える年齢は過ぎました。それでも誰かにこの胸の内を受け止めてほしいと願うそんな時、わたしの隣に仏さまがいらっしゃることを思い出しました。 昨年、祖母が亡くなりました。生きている間には伝えられなかった思いが、亡くなってから溢れてくるのは、何とも皮肉なことですが、仏さまとなられた今なら、打ち明けにくいことも相談できそうな気がします。なぜなら、お内仏にいくら話しても返事はもらえないからこそ、親に甘える子どものように、自由に抱える思いを飛ばせるからです。 きっと、いまお聞きのあなたのもとにも仏さまはいらしていて、あなたがいま何をして、どんな思いを抱えていても、それを否定せず、正面から受け止めてくださっているでしょう。便利な世の中なので、自分を解放する手段も環境もさまざまありますが、どうか今夜は、あなたの隣の仏さまに甘えさせてもらって、また明日から、社会で生きていくスタミナを、つけてもらってみてはいかがですか。 |
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