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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2020年  

  放送日 タイトル 法 話
643 2020年4月16日〜 「聞く」にはじまる 第8組 正光寺 木塚 哲
 お経には「如是我聞(にょぜがもん)」「我聞如是(がもんにょぜ)」で始まるものがあります。「私はこのように理解した」ではなく、「私はこのように聞きました」と始まるのです。「聞く」ということが大切なのですね。ある卒業式のことです。校長先生が式辞でこんなことを述べられました。
 「皆さんに伝えたいことがあります。それは感謝です。私は教育委員会にいた時、辞めたい程苦しいことがありました。ある日、願掛けをしました。名古屋の実家から職場まで歩き切れたら辞めない、歩けなかったら退職する。そんな思いで歩き始めました。あと数キロという所で疲れて歩けなくなり、とある神社の境内に座り込みました。私はうなだれ、なぜこんな事をしているんだ。もうやめた!と思った時、頭上で「どしたの?」と幼い声。見上げると園児に囲まれていました。後で知ったのですが、私が休んでいた神社の隣に保育園があり、よく散歩に来ていたそうなのです。「大丈夫?痛い?」と年長の女の子。「おじちゃんね、疲れちゃってね、あきらめようと思っているんだ」とつい答えてしまったのです。すると、思わぬ言葉を掛けられました。「おじちゃん、あきらめたらあかんよ。先生言っとったけど、あきらめなかったら、できるんだよ」私はそれ聞いてハッとしました。そうだ、好きで始めたこの仕事、何故あきらめないといけないんだ。私は、この言葉に支えられて今日まで来ました。その保育園はこの中学校の学区。当時年長だった子は、この卒業年度にあたります。大切なことを教えてくれた子がここにいるはずです。私は感謝を述べたい。ありがとう」と話されました。
 この園児は何の気のなしに、大人から聞いた言葉をそのまま伝えただけです。決して相手を変えよう思って話したわけではありません。自分が聞いて、そのまま受け取り、それをそのまま伝えただけなのです。ただ、それによって励まされ、導かれることがあるのですね。
 さて、最初の話に戻りますが、お経の始まりに「私はこのように聞きました」とあるのは、お釈迦様が話したことを自分で理解した言葉で書いたのではなく、聞いたまま内容を残されたからなのですね。つまり、理解したからではなく、聞くことから始まるのですね。お念仏も自分が理解し、納得できたからお念仏するのでしょうか?誰かから言われてするものでしょうか?それではいつまでもお念仏は出てこないでしょう。お念仏に出遇った人の南無阿弥陀仏を聞き、自分の経験や知識で判断するのではなく、そのまま、計らいなく聞こえた時、私自身から念仏が飛び出すのです。その私の口から出た念仏に励まされ、つき動かされる働きこそ、如来の働きではないでしょうか。お念仏は、仏法聞いて、頭で理解してから申すのでないのですね。まずは「聞く」ことから始めませんか?
 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏


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