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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2020年  

  放送日 タイトル 法 話
645 2020年5月16日〜 善悪のふたつ総じてもって存知せざるなり 第18組 常休寺 黒田法潤
 世界中で新型コロナウイルスの感染が日増しに拡大しており、4月21日現在で世界の死者数が17万人を超えました。この様な海外の状況を伝えるニュースを見ていると、近いうちに日本も爆発的に感染者が増えて、同じ状況になってしまう気がしてなりません。私自身、家族や周りの大切な人たちと、もう二度と会えなくなってしまうのではないかと不安や恐怖も日増しに強くなっています。死は、遠い未来にあるのではなく、常に私に裏付けられているということが、今までになく私にリアルに差し迫っています。同時に、「生まれた限り、私の意に反して、老病死を歩まざるを得ない」という事実を、全く受け入れられない私が浮き彫りになっています。仏教を知識として知っていても、「死」と向き合った時に、教えが生き様そのものとなって、生き抜く力とならなくては、何の意味もないのではないか。今まさに、仏教を学ぶ姿勢そのものが問われているように思います。
 タイトルの「善悪のふたつ総じてもって存知せざるなり」という言葉は、『歎異抄(たんにしょう)』に出てくる親鸞聖人の言葉です。親鸞聖人が生きた鎌倉時代にも大飢饉をはじめ、戦乱や自然災害の発生、伝染病の流行がありました。今の私たちと同じように、人々が不安や恐怖、悲しみの中で生きることを強いられたということは想像に難くありません。だからこそ、生きることに絶望さえも感じるような状況の中で、親鸞聖人は何を明らかにされたのか。改めて尋ねていかなくてはならないと感じます。
 親鸞聖人は、タイトルにあるように「何がほんとうに善であるか、悪であるかは私にはわからない」と言われます。これは、自分自身の価値基準や常識は、都合や状況によって移り変わる曖昧なものであるため、何が善で何が悪であるかは判断することができないと言われているのです。しかし、私たちはあらゆることに対して、善悪の判断をします。しかも、その判断を正しいものとして疑うこともありません。もちろんそうした判断は、生きてく上で欠かせないことですが、今のような大変な状況であるからこそ、「私が持っている常識や価値観はほんとうに正しいのか」という問いかけに向き合っていく必要があるのではないでしょうか。


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