放送日 | タイトル | 法 話 | |
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652 | 2020年9月1日〜 | おじいちゃんが仏さまになった日 | 第11組 長正寺 杉本季利子 |
10年ほど前に、友人から「おばあちゃんが亡くなった」という知らせを受け、御葬儀に参列させて頂きました。入口には思い出の品などが飾られ、祭壇の中央には優しい笑顔の遺影が参列者を出迎えていました。席に着くと、故人の人柄を偲ぶ声があちらこちらから聞こえてきて、私も友人といろいろ思い出話をしながら手を合わせました。 出棺前のお花入れの際には、喪主様のご意向で「参列の皆様もぜひ」と声をかけて頂きましたので、私も棺の近くへと向かいました。すると棺から少し離れた場所で小さな女の子が「私もお花入れたい」と泣いていました。その子は故人が可愛がっておられた曾孫さんでした。私は係の方からお花を受け取り「はいどうぞ。おばあちゃんをきれいに飾ってあげてね」と渡すと、女の子は「ありがとう」と言ってニコッと微笑みました。ところがその子のお母さんから「この子にはいりません」と突き返されてしまいました。私は意味が分からず唖然としながらも理由を尋ねると「人が死んだ姿なんて子どもに見せたくないでしょ」と言い、「お花をいれたい」と泣くお子さんの手を引いてさらに離れた場所へと下がっていかれました。 ショックでした。亡くなった人の姿というのは、子どもに見せられないものなのでしょうか。もしかしたらお母さんは、お子さんが御遺体を見て動揺しては可哀想だという思いやりの気持ちで言われたのかもしれません。でも、遺された私たちにも必ず死は訪れます。そこには悲しみや不安がありますが、避けられない現実です。 私自身、9歳の時に見た大好きな祖父の亡くなった姿は今でも目に焼き付いており、もちろん寂しさや悲しみはあったものの、その姿は子供心にも「きれい」と思ったものです。何故そう思えたのか、それは「おじいちゃんは仏さまになったんだよ。これからもずっとそばで見守っていてくれるよ」と両親が教えてくれたからです。それ以来、私は何か辛いことや悲しいことがあっても「大丈夫。私のそばには仏さまがいてくれるから」と思えるようになりました。 あの時、あの女の子とお母さんに何も言えなかった自分が情けなく、心残りです。お寺に嫁ぎ、今や |
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