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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2020年  

  放送日 タイトル 法 話
655 2020年10月16日〜 「ありがとう」と「当たり前」について 大垣教務所 安田誓遵
 「ありがとう」という言葉は、世界のどの国でも、あいさつのように類似言語があります。しかし、語源はそれぞれ異なっています。
 英語のサンク(thank)はシンク「think」(考える、思う)に通じ「サンキュー(ThankYou)」は、「あなたのことを思ってますよ」という意味が直訳であり、「あなたから頂いたご恩(親切)を忘れていませんよ」といった心なのでしょう。イタリア語の「グラッツェ」フランス語の「メルシー」などは、恩恵(おんけい)が語源で、恩恵を受けたことへの返答です。中国語の「ありがとう」は、「シエシエ(謝謝)」。この「シエシエ(謝謝)」は、「すみません」という意味でも使われるようです。日本語でも「謝」は「感謝」の「謝」でもあり、「謝(あやま)る」と読むこともできます。
 さて、日本の「ありがとう」の語源ですが、仏教に由来するといわれます。元は「ありがたい」。漢字で書くと、()ることが(むつか)しい。つまり、めったにないという意味が語源なのです。
 では、ありがとうの対義語(たいぎご)は何でしょうか。ありがたいという言葉の語源から考えると、「当たり前」という言葉に行き着くかと思います。日本語のありがとうの反対は、「当たり前」なのです。今、こうして私がテレホン法話をさせていただく機会にであえたのは、それこそ「ありがたい」機会です。また、仏法(ぶっぽう)に若くしてたくさん触れる機会があることも、他の方々よりも「ありがたい」ことです。でも、「ありがたい」と感じてばかりいられないのが、人間です。小さなことに感謝するどころか、ないがしろにし、むしろ愚痴(ぐち)文句(もんく)を言ってしまうのが人間なのです。日常に日々感謝しろと言われても、「当たり前」に感じてしまう。
 不思議ですよね。本来「ありがたい」ことが、反対の意味である「当たり前」に、いとも簡単にとって代わってしまう。現状に常に不満を持ち、感謝すべきところを、愚痴や文句しか出てこなくなってしまう。気が付くと、大切なことがみんな「当たり前」に代わってしまいます。
 でも、裏を返せば、日々の「当たり前」を「ありがたい」と思うことも、我々はできるはずです。仏法を聞き、学んでも、いつのまにか「ありがとう」を当たり前にしてしまう私たちは、だからこそ仏教に常に出遇(であ)い直す。聞法(もんぽう)を続けることが大事なのです。
 浄土真宗が一番大切にしている報恩講は、仏法に出遇えたことを「めったにない」ことだと「感謝」する行事です。「当たり前」となった気持ちを、この日だけは「ありがたい」と思いなおそうと思います。


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