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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2022年  

 № 放送日 タイトル 法 話
706 2022年12月1日~ 聴くことは大切ですね 第14組 真泉寺 毘廬谷 侑
 私は小学校の教員をしています。今日学校では効率を求め、なんでも早く処理をしなければいけません。これは先生が忙しい要因の一つです。また、様々な面で数値目標があります。去年と今年の子どもは違うのに、テストの点数を去年より何点アップさせるというものもあります。これって子どものことを見ているのかなと思う時があります。
 学校現場だけではなく、社会全体が分かりやすいものに飛びついているのではないでしょうか?分かりやすいものを「良し!」とする社会ですから、分かりにくいものからは離れていきます。しかし、効率主義・数値目標はわかりやすいけれど、本当のところそれは人を助けてくれているのでしょうか?
 何年も前の話です。一年生にAちゃんという女の子がいました。入学当時、元気な姿を見せてくれていた子です。そんなAちゃんが初めての給食準備の時に、器を落として割ってしまい、担任の先生に連れられて、べそをかきながら校長室に謝罪へ来ました。校長先生はAちゃんを心配し、一言目に「怪我はしていないか?」と声をかけましたが、Aちゃんは担任の先生に促されて「ごめんなさい」と言った瞬間から号泣。その後、学校を休むようになりました。校長先生は心配して、一度Aちゃんのお母さんと話し合いをしました。すると、お母さんがこんな話をしてくれたそうです。Aちゃんが生まれた時、お父さんは大きな借金を抱え、お母さんも0歳のAちゃんを預けて、昼夜を問わず働いたそうです。今もお金の余裕はなく、生活をしていくのもやっと。そこに妹も生まれたので、ますますAちゃんは甘えられない状態であったと言うのです。
 「よくここまでやってこられましたね」と校長先生が言うと、お母さんは目に涙を浮かべていたそうです。不思議なことですが、その家庭や子どものことを丁寧に聴くということをしたら、事態が好転していったのです。Aちゃんも学校に来るようになりました。
 二年生になりB君という子が転校して来ましたが、なかなか登校できない状況から、「相手の思いを考える」という内容の学級指導が行われました。そこでAちゃんは、B君に宛てた手紙に「AはどんなことがあってもB君の味方だからね」と書いたそうです。その話を個人懇談で聞いたお母さんは「今までの経験があるから、Aがそんな風に育っていったんだ」ととても感動していました。本当のところは、聴かないと分からないと思うんです。器を割ってしまったショックで学校に行きたくなくなるのか・・。きっと、原因はそこだけではないのですね。
 わかりやすいものに人は飛びつきます。でもね、わかりにくい・わからないものこそ、実はすごく大切なことだったりすると思うのです。「聴く」と「待つ」は、本当に難しいです。校長先生の、話をじっくり聴いていく姿勢から学ばせていただきました。


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