本文へスキップ

真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

TEL. 0584-78-3362

〒503-0897 岐阜県大垣市伝馬町11番地

テレホン法話(0584-78-3452)TELEPHONE SERMON

 テレホン法話 2024年  

 № 放送日 タイトル 法 話
752 2024年11月1日~ 多様な在り方と聞法 第13組 楽邦寺 禿 奈穂
 私は個人を大切にする考え方が好きです。個人にはひとりひとり(おか)されてはならない生きる権利があるという人権の思想をとても大事に思っています。そういった考えのもとに、他人や世間の感覚や価値観ではなく、自分の思いや感覚を大事にすることがとても大切と考えています。他人が自分の人生を決めていくようなこと、自分の感覚を無視して他人や世間の感覚にあわせて生きることには自分の生きる意欲を失う危険性と、人間や社会が本来的にもっている多様な在り方(多様性)に背く不自然さがあると感じています。その不自然さは仏教で自然法爾(じねんほうに)といわれることの対極ではないかと思います。自然法爾とは、本来の在り方にそった真実に沿った在り方のことをいいます。多様性の時代とはいいますが多様な在り方はなにも現代から始まったわけではなく、いつの時代も本来はそういう在り方こそが自然法爾という言葉の表す人間や自然や世界のありのままであり、それに背いたり反した在り方だと苦しくなるよという教えが自然法爾ではないかと私は考えています。
 年中さんになった子どもがこう言います。「ママはいつも自由、僕はいつも自由じゃない。」それは自分はいつもママやまわりの大人の言われることで動かないといけない、自由が許されていない、多様性を無視した大人たちに自分の感覚を大事にされていない、という生き苦しさを訴える言葉だなと感じました。自分の感覚を大事にするように、他人の感覚も大事にすること尊重することを私は大事にしていたはずですが、気づいたら自分の感覚や自分の思いばかりになり、子どもや他人を尊重することをないがしろにしていました。例えば、これは私がしたことですが、よくこういうやりとりをしがちです。「このブロッコリー美味しいから食べてみて。」その時子どもが美味しいといって食べればそれですみますが、「美味しくないよ、僕は食べたくないよ。」と子どもがいっても、「いやいや美味しいし、栄養もあるから食べなよ。」と子どもの感覚を無視した発言を続けるのです。私には自分の感じるように相手も感じるという思いこみがあり、また、言っていることが正しければ(ブロッコリーには栄養があるなど)自分の意見が通って当たり前と思ってしまうことが多いのです。この場合、「そうか~あなたは美味しくないと感じるんだね~食べたくないんだね~」と少なくとも一度子どもの言葉を私はそのまま受け止めれば良かったのかもしれないと思います。自分の思いを伝えるにしても、その子どもの言葉に対する受け止めがまずなければ、多様性を尊重した対等な親子の会話の一歩にもならないのかもしれません。
 自分の思いはとても大事で大切にしなければならないけれども、それだけでは生きられないし、それだけでは相手と共にいきいきとお互いにのびのびと生きるということは難しいという当たり前のことに改めてうなずく日々です。
 自然法爾といわれる在り方にも沿う人間社会というのは、多様な在り方を相互に認め合える社会であり、それは個人レベルでは、お互いの思いや感じ方を相互に聞きあうすがたをとるのではないかと思います。とくに権力をもった大人は聞くということを改めて考えるべきですね。聞法が大事といわれる所以はそこにあると思います。南無阿弥陀仏。


ナビゲーション

バナースペース

真宗大谷派大垣別院開闡寺

〒503-0897
岐阜県大垣市伝馬町11番地
開所時間  9:00~17:00
(毎月第1、3日曜日 事務所休)
納骨堂参拝 9:00~16:00

TEL 0584-78-3362
FAX 0584-78-3328
E-mail kaisenji@ogaki-gobosan.net