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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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テレホン法話 2013年  

  放送日 タイトル 法 話
469 2013年9月11日〜 夢をもつということ 第7組念徳寺 南木尚子

 三浦雄一郎(みうらゆういちろう)氏が、80歳でエベレスト最高齢登頂の記録を更新した。
「夢をもつこと」と三浦氏は語ったが、夢をもつこととはどういうことなのか。
 私の父は三浦氏と同じ80歳で、現在病を得て在宅介護を受けている。
 口をついて出てくるのは愚痴(ぐち)ばかりで、「健康だったら夢だって持てるんだが」と言う。はたしてそうだろうか。身体が思うように動かなくなってくると健康食品に頼り、思うように成果が出ないと他の薬を探す。父がそんなことを繰り返していたときに言っていたのは「こんなはずじゃなかった」という言葉だった。しかし、身体が思うように動かなくても夢をもって生きている人はたくさんいる。そして、誰もが歳をとれば必ず若い頃のようには身体が動かなくなる。そんな当たり前のことを父は受け容れられなかった。
 昔から父は自分の不遇(ふぐう)(なげ)いていたが、自分ができなかったことへの言い訳ばかりを探していたように思う。自分ができない理由を外に探しているうちは、たとえ身体が健康であっても夢は語れない。語れるのは妄想だけだ。「人生が二度あれば」とか「そうだったらいいのにな」とかいっても、現実のこの身は変わらないのだから。この父に強く影響を受けて育った私もまた、妄想(もうそう)(とら)われてできないことの言い訳をまず探して生きていた。
 そして気づいたことは、私は他の誰になることも、今までの人生をリセットすることもできないということ。自分とはこの環境の中に今存在するもので、その今という環境もまた時々刻々と移り変わっていく。そういうささやかな存在だということだった。
 夢をもつということは人生の短期目標を持つことだと思う。まずここまでという目標は、それに向かって努力する道筋が見えるということだ。これは必ずしも何かを「する」ことではない。それに対して、長期目標とはこの人生を最後まで精一杯生ききるということではないだろうか。それならば、夢をもつことは楽しみだが、夢をもつことに(しば)られる必要はない。長期目標への道筋が見えれば、短期目標を無理に設定する必要がないからだ。
 自分の思いに囚われている父の苦しみは、生きている限り続くのだろう。
ただその苦しむ父を通して私が得たものはとても大きい。私も簡単にこの思いに囚われるが、囚われている自分に気付くことができるから。簡単に囚われる自分が長期目標に向かって歩むことができるのだから。父を通して、縛られることなく夢を楽しむ道をいただいたと思っている。



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真宗大谷派大垣別院開闡寺

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