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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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テレホン法話 2013年  

  放送日 タイトル 法 話
474 2013年11月1日〜 踏む意志・踏まれる意味 第17組正休寺 勅使祥孝

 今年は、10月22日現在で、28もの台風が発生している。10月に入ってから日本に近づく台風の数は28号が五つ目で、観測史上最多の年となるらしい。
 発生した数も例年より若干多いようで、その理由を専門家は、赤道近くの海水の表面温度が例年よりも一度高いことを挙げている。
 台風は、温かい海の北西側に生まれるが、水温が高いと多くなる。台風はそこから北西に進み、フィリピン東沖を通る。例年なら夏に通る台風などが海水をかき回し、深く冷たい水と混ざるため水温が下がる。ところが、今年はここの水温も9月は高かった。台風は温かい海を通ると力を強める。その点から、今年は台風が多く生まれ、強化されやすいという悪い条件が太平洋にそろったということらしい。
 そんな今年の台風状況の中、台風18号では京都が大きな被害を受け、台風26号では伊豆大島や千葉県も甚大な被害を受けてしまった。
 10月16日の当時、私は教区の事業で福島県に教区の方々と一緒に滞在していたが、確かに倒木等の影響で道路封鎖など、台風の爪痕は大きかった。
 「麦は踏まれて強く育つ」という。麦踏みは、麦の種をまいて葉が出てきた頃に行う日本独特の農作業で、この作業を行うことにより、霜柱ができたときでも土が持ち上がらずに麦の根を傷めることなく、踏むことにより茎がたくさん分かれ、根も強くなり麦の生育を助けるのだそうだ。
 私たち人間も、自然に叩かれ踏まれ強く育つのかもしれないと思う。ただそこで問題なのは、その自然の厳しさに対して、この私がどのように成長させてもらうのかということではないであろうか。
 完全に凌駕(りょうが)してやろうという強がりも、ある意味では人類の発展ではあるが、自然の厳しさの奥底に大きく深く湛えている本当の優しさと慈愛を学ぶことこそ、真の強く育つということであると思う。
 自然災害で大切なものを奪われてしまった方々の中には、お怒りになる方もみえるかもしれないが、全ての人々の中にそのような想いがあると思う。
 なぜならば、私たち人間はまぎれもなく、大自然の一部であるからだ。



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