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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2014年  

  放送日 タイトル 法 話
488 2014年3月21日〜 真宗の御本尊 大垣教務所 藤井 学

先日新聞を見ていると、こんな記事が目に飛び込みました。
 「大河ドラマで仏像取り違える」
 今、NHKでは、戦国時代に戦略家として活躍した黒田官兵衛(くろだかんべえ)の生涯を描く大河ドラマ『軍師 官兵衛』が放送されています。そのドラマのとある回で、織田信長に攻められ大坂本願寺に立てこもり苦悩する顕如上人(けんにょしょうにん)が登場した場面がありました。そして、その顕如上人の背後には座った姿の仏像が映っていたのです。それを見た視聴者から「仏像が違うのではないか」という指摘があったとのことで、NHKが事実確認を取ったところ、誤って阿弥陀如来(あみだにょらい)ではなく釈迦如来(しゃかにょらい)坐像(ざぞう)を置いてしまったことが判明した、そんな内容の記事でした。
 御本尊の件についてNHKに指摘したのがどこの誰かはわかりませんが、おそらく真宗の僧侶か門徒さんではないかと思います。指摘の内容も具体的にはわかりませんが、その仏像が阿弥陀如来か釈迦如来かということよりは、仏像が立っているのか座っているのかという点に注目してのことだったと思います。
 と言いますのも、皆さんご承知のことかと思いますが、真宗の御本尊は阿弥陀如来です。それも座ったお姿、坐像ではなく、立ったお姿、立像ということになっています。本願寺に安置してある御本尊が立像ではなく坐像だからおかしい、というのは真宗門徒ならではの視点であると思うからです。ほとんどの場合、如来の像は悟りを開いて泰然(たいぜん)と座った姿となっています。それに対して真宗の阿弥陀様のお姿は、われわれ煩悩具足(ぼんのうぐそく)凡夫(ぼんぶ)を救おうと願い、座ってはおられずに立ち上がられたものと言われます。
 一般に仏様というと、「私たちの願いを(かな)えてくれる存在」として(とら)えられているのではないでしょうか。家内安全、交通安全、無病息災、厄除け祈願。われわれから仏様への願い、願望は尽きることがありません。しかし、真宗の阿弥陀様は、ただひとつ「念仏申して救われて欲しい」と私たちに対して願っている。誰が誰に対して願っているか、その願いの方向の違いが、立っているか座っているかという姿の違いに現れているのでしょう。
 真宗門徒でなければ、仏像の違いなんて瑣末(さまつ)な問題に過ぎないのでしょうが、お念仏の教えに照らせば非常に大きな問題となるのでしょう。果たして私は、私のために立ち上がってくださった阿弥陀様の願いに応えているのか…そんなことを改めて考えさせられた新聞記事でありました。
 ちなみに、私も大河ドラマの放送を見ていましたが、例の場面は何も気に留めることなく眺めていたのでした。



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