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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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〒503-0897 岐阜県大垣市伝馬町11番地

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 テレホン法話 2014年  

  放送日 タイトル 法 話
508 2014年10月11日〜 多様性ということ 第5組専徳寺 大橋尚代
 新聞やテレビなどの報道で御存じでしょうが、国連の人種差別撤廃委員会は8月29日、異なる人種や少数民族に対する差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現(ぞうおひょうげん))を行なった個人に対して「捜査を行い、必要な場合には起訴すべきだ」と日本政府に勧告しました。これは、日本が人権問題に関して、かなりの後進国であることを意味しています。とても恥ずかしい気持ちになりました。
 毛色(けいろ)の違う異分子(いぶんし)を見つけると、その人を排除(はいじょ)しようとする習性は、人間である限りどんな国の人にも少なからずあるのでしょうが、大陸で国境を他国と接している国の人たちに比べると私たち日本人のそれは、よりはっきりしているのかもしれません。障害があって、人と違う動きをしたり、日本人でないために、自分たちと違う生活習慣を持っていたりすると、そういう少数者を排除する空気が生まれます。私は小学生のころ、クラスの女の子の一人が、三口(口唇裂(こうしんれつ))の手術を受けて、話す言葉が聞き取りにくいという理由だけで、クラスの中でばい菌のように扱われていたことを思い出します。彼女と毎日帰り道を共にしましたが、クラスのみんなに何も言えなかった点では、わたしも彼らと同罪です。
 人間の社会には様々な人が集います。力がある人、弱い人。声の大きい人、小さい人。手先の器用な人、不器用な人。仕事の早い人、遅い人。そういう違う個性を本当に認め合って生きるということは、実は至難の業なのかもしれません。
 どんな場合でも、自分とは違う誰かの置かれている境遇や、状況、その人自身が持っている性質を認め合うためには、お互いの想像力を大いに働かせなければなりません。そうすることによって、人の痛みや悲しみに、せめて思いが至るように生きていくしか、今のわたしには何も良い策は思いつきません。想像する力、他者へ思いを(はせ)せる力を地道に磨いていこうと思います。
 植物も、動物も、そして人間も、生きとし生けるものは皆、多様な相で存在しています。そのあたりまえの事実と尊さを、毎日お経に教えられているのに、無意識に排除と差別を繰り返しているわたしです。


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