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真宗大谷派大垣別院開闡寺は真宗大谷派(東本願寺)を本山とする別院です。

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 テレホン法話 2023年  

 № 放送日 タイトル 法 話
713 2023年3月16日~ 亡き人を見送ること 第14組 存徳寺 柏尾真道
 先日、御門徒さんの葬儀で、印象深い出来事がありました。亡くなられた方は、晩年、認知症となり、ご自宅で生活されていたのですが、娘さんの献身的なサポートをうけ、亡くなる最期までご自宅で過ごすことができました。葬儀は娘さんの強い希望をうけ、ご自宅での葬儀の段取りとなりました。感染対策もあり、葬儀は家族などの近親者のみで執り行う形でしたが、御家族の思いのこもった、温かい空気感を感じる葬儀でした。
 葬儀が終わり火葬場へ移動する際に、家の外に出ると、大勢のご近所の方々が手を合わせて集まっておられました。車が動き出した後も、道沿いでそれぞれのご自宅の前で、手を合わせて見送っておられる、ご近所の方々の姿がありました。娘さんの話によると、お母様は昔から世話好きで、長年にわたってご近所、地域のために沢山の関わりをされていたようです。
 法要が終わり、長年認知症のお母様をサポートされてきたことにも触れお話をすると、「認知症になった母の介護は、やはり大変でしたが、最期まで母が生きた姿をこの目で見ることができて良かった。そして、自宅での葬儀で、この土地で母がどういう生き方をしてきたのかが、改めて分かりました。」と。娘さんは、お母さんの生き様をしっかりと見つめてこられた。そして、最後の葬儀の際に、この土地でどう生きてきたのかを再確認し、改めてお母さんと出会い直し、その思いを大事にされているようでした。このご葬儀をとおして、大事な方を看取ること、そして見送ることについて、改めて考えさせていただきました。
 亡くなったことへの受け止めについて、24年にわたって認知症のお母さんを介護されていた、文学作家であり、詩人でもある藤川幸之助さんが、ご自身の経験をもとにこんなふうに語っておられます。「看取り」という本来の意味について、看取りとは、「臨終」に立ち会うことでなく、見て取ることである。わたしはつぶさに、見て取ってきた。見て私に取り入れてきた。母の命を見取りながら、新しい自分が生まれた。母を刻んだ私をどう生きていくか。それが命をつなぐということ。この私自身が母の遺言。と。
 託されたこの私自身が亡くなった方の遺言、つまり願いを託された人であることを自覚し、亡くなった方の思い、願いをちゃんと意識して、一度きりのこの命を大事に大事にさせていただく。亡くなった方々の願いの中で、この私が生かされていることを、改めて大切に受け止めたいと思います。


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